こんにちは
ちょもら です
テレビに挿入されているB-CASカードの仕組みを、今回は法に触れない範囲で解説したいと思います
解説と言いながらも未来の自分への備忘録も兼ねています
ちなみに、備忘録といえばうぇるちまんです
テレビ放送における暗号化
テレビ放送は地上波(ISDB-T)であっても衛星波(ISDB-S)であっても、無料放送有料放送問わずに全て暗号化されています
私たちがテレビを見ることが出来るのは、このB-CASカードを使って暗号化を解除している為です
B-CASにおける暗号化
B-CASでは、データの暗号化にMULTI2(マルチツー)と呼ばれる日立製作所(1988)が考案した暗号化プロトコルが使用されています
B-CASカード内に存在する鍵を使用して、受信機器(又はソフトウェア)が復号化処理を行うことで、テレビ放送を見られるという訳です
暗号化を詳しく
放送波はKs(スクランブル鍵)と呼ばれる鍵によって守られています
Ksは短時間で書き換えられる鍵で、常に一定のものではありません
このKsも放送波と共に暗号化された状態で受信機に届くわけですが、この信号をECMと呼びます
Ksが暗号化されているということは、それを解くための鍵が存在します
これをKw(ワーク鍵)と呼びます
このKwは放送局により異なり、WOWOW、スターチャンネル、スカイパーフェクTV、NHKなどの放送局でそれぞれ異なります
このKwは無料放送はB-CASカードに書き込まれているので、カードを受信機にさすだけでテレビを見ることが出来るのですね
では、有料放送はどうなっているかと言うと、契約した段階で放送波に乗せてKwをご家庭のカードに届けています
えぇっ!?
そんなことしたらKw流出するやん!!
そうです。このままではKwが流出してしまいます
そこで登場するのがKm(マスター鍵)です
このKmは各カードで固有のもので、放送局がKwを送出する時に契約したカードのKmで暗号化した状態で送出します
放送局はすべてのカード番号とKmの組み合わせを保持していて、契約者から申告のあったカード番号に対応するKmで暗号化すれば、Kwを傍受される心配はないという訳です
ここまででB-CASの大体の仕組みがわかったと思います
B-CASの安全性
この内容を踏まえて、不正視聴について解説します
カード内のKwはKmがあれば書き換えが可能です
つまり、何とかしてカードのKmと見たいチャンネルのKwを入手出来れば、後は簡単という訳ですね
B-CAS改ざんについては、このような技術で実現されている訳です
過去に発行されたカードは脆弱性がありこのKmを簡単に入手できたことから、B-CAS改ざんは発展したという事です
放送局としてはKwを定期的に変更する事で対策していますが、運用開始までには新たなKwが不正に流出し、完全にイタチごっこです
Kw運用履歴
運用開始日不明 ~ 2015/02/10 (火) 4:45 まで
2015/02/10 (火) 4:00 ~ 2016/10/13 (木) 4:30 まで
2016/10/13 (木) 4:00 ~ 2018/03/13 (火) 5:00 まで
2018/03/13 (火) 4:00 ~ 2019/06/13 (木) 4:50 まで
2019/06/13 (木) 4:20 ~ 2021/05/12 (水) 5:00 まで
2021/05/12 (水) 4:10 ~ 2022/11/16 (水) 3:00 まで
2022/11/16 (水) 7:00 ~ 2024/05/20(月)まで
2024/05/20(月) ~ 運用中
令和6年5月現在運用中のKwは、
WOWOW → 0b
スターチャンネル → 08
スカイパーフェクTV → 0a
NHK → 02
※R6 1/31 記事内の間違いを訂正しました
※R6 2/2 Kw運用履歴を追記しました
※R6 5/26 Kw運用履歴を更新しました
参考文献
鳥取ループ(2013).『B-CAS事故‘8674422’: 2012年テレビ視聴制限崩壊の真実』.示現舎.
一般社団法人 電波産業会(2015).『地上デジタルテレビジョン放送運用規定 技術資料 ARIB TR-B14 6.0版 (第四分冊)』.
SoftCAS Part27.5ch.net.
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